(7)あらためて公教育を考えると…
具体的には、“ほめる・叱る”といった「20世紀の教育」を通して、教師-子ども間に“タテ”の関係を維持・強化します。その影響で子ども間には競争が生み出され、その結果として“スクール・カースト”というタテの関係が創出されます。そして、その関係性のひずみが“いじめ・不登校”などの症状を生み出すのです。残念なことに、そういった公教育になってしまっているように見えます。これがまともな公教育なのでしょうか?
そして、“ほめて育てよう”のもとで育った若者たちは、他者の目を非常に気にして生きており、不自由そうです。彼らは失敗を恐れます。自信のなさそうなことには取り組もうとしません。挑戦意欲が低いようにみえます。そうして、他者評価で自分の価値を決めるという生き方で苦戦しているように見えます。
果たして、公教育はそのような若者を育てようという目標だったのでしょうか?それは確実に「No!」ですよね。しかし、実際に実行されてきたかかわり(D)が、その目標(P)とズレを生み出しているようにみえます。実際、2000年代の国際調査の結果(C)は、一貫して、学力は高いが自尊感情や意欲が低いということが示されています。当時の教育理念や目標(P)が間違っていたのでしょうか?それとも、それを達成しようとして採られてきたその方法が、すなわち具体的かかわり(D)が目標との間でミスマッチだったのでしょうか?